韓国と北朝鮮の国境付近に住む住民のイ・ミンボクは、長年にわたり、北朝鮮に批判標語を書いた空中風船を飛ばす習慣を続けてきましたが、イ・ジェミョン政権の発足後、公式な関心を受け、この活動を止めました。

イ・ミンボク（音訳）は、「私は静かに空中風船を飛ばしているだけで、何が問題なのか？北朝鮮を怒らせることになるのか？そんなことはあり得ない。北朝鮮に言論の自由が保障されるまで、ずっとやり続けたい。私たちの政府は恥じるべきだ」と語っています。イ・ミンボクのように風船を飛ばす住民は多く、これは韓国戦争終了以来、二つの韓国の心理戦の一環と見なされています。

韓国では、この活動は主に民間から発起されており、風船には政治的パンフレットや北朝鮮政府が禁止する内容が添えられ、北朝鮮の人々がそれを見て起き上がって金正恩政権に反抗することを期待しています。しかし、北朝鮮当局は時には反制措置を取っており、飛ばされた風船にはタバコの吸い殻やゴミ、さらには糞便が含まれている場合もあります。2024年だけでも、北朝鮮は32回にわたり、少なくとも3000個のゴミ風船を飛ばしました。これらの風船は、軍事攻撃とはみなされず、多くの防線を突破し、仁川国際空港や韓国大統領府などの重要施設に降りることが多く、混乱を引き起こしています。

脱北者のパク・サンハク（音訳）は、2024年6月26日に「私たちが送ったのは真実、金銭、そして愛であり、北朝鮮はゴミを詰めた風船を送ってきた。韓国政府はこの行為に積極的に応答すべきだ」と述べています。さらに、ゴミの風船の他に、南北間の別の心理戦の手段は、放送壁です。ポップ音楽、政治宣伝、あるいはホラー映画の騒音が国境上空で響いています。専門家によると、これらの行為は国境住民の生活に直接影響を与え、その目的は他の軍事的または政治的行動に対する報復かもしれません。

東アジアメディアアート学院の教授であるイ・スヨン（音訳）は、「音のパターンから聞くと、これは騒音を隠すためではなく、南韓の人々に苦痛を与えるためのもののようだ」と述べています。しかし、近年、南北関係の変化に伴い、韓国政府もこれらの行為を停止することを何度も検討しています。文在寅政権は北朝鮮との関係改善のために「すべての敵対的行為を全面的に禁止する」ことを強調し、民間人が空中風船を放つのを阻止しようと立法を試みましたが、憲法裁判所によって言論の自由に違反するとされました。その後、公式にはもはや禁止されてはいませんが、奨励もされていません。

イ・ジェミョンが就任した後、外交方針は周囲の国々との友好的な関係を維持することを目指しており、似たような心理戦術を停止することを主張しています。最近、南北韓の放送壁はすでに静まっており、何の音も発していません。また、空中風船についても再度規制をする可能性があります。イ・ジェミョンは「国境の放送壁の悪循環を止めることから始める。これにより国境地区の住民は夜も寝られない」と述べています。政府の立場の変化に対して、市民の反応は二極化しています。風船を飛ばすのは言論の自由であり、干渉されるべきではないという意見もありますが、国境地帯の住民の中には、ようやく静かになり、生活や仕事に集中できると感じる人もいます。