カナダ中央銀行、金利を維持し、将来的な利下げの可能性を示唆
カナダ中央銀行（Bank of Canada, BoC）は水曜日（4日）に基準金利を2.75%のまま維持することを発表しました。この決定は市場の予想通りですが、同時に米国の関税がカナダ経済に影響を及ぼし続け、経済が弱含んだ場合には、将来的に利下げが必要になる可能性があると警告しました。
これにより、中央銀行は連続で2回目となる金利維持の決定を行い、昨年からの利下げサイクルの中で金利を初めて停止しました。中央銀行総裁のティフ・マクレム（Tiff Macklem）は、カナダの経済が第一四半期に予想以上のパフォーマンスを示したものの、トランプ大統領によるカナダの鉄鋼およびアルミニウムなどへの関税が、輸出と消費者信頼感に深刻な影響を与えていると述べました。「米国の貿易政策が引き続きカナダ経済にとって最大の逆風である」と指摘しています。
声明によると、政策委員会は、米国の関税政策およびそのカナダ経済への影響についてのさらなる情報を待つために金利の調整を一時停止することに一致しました。また、現在の経済は減速しているものの、急激な悪化は見られず、最近の一部のコアインフレデータが予想を上回っているため、様子見を選択しました。
公式データによると、4月のカナダのコアインフレ率は3.2%に達し、1年以上ぶりの高水準となっています。これは特定の商品価格の上昇、特に貿易に影響された食品価格が要因です。
マクレムは、現時点で物価データから報復関税の直接的な影響を見極めるのは難しいが、関税が輸出需要、企業の投資、雇用、家庭支出に与える影響について引き続き注視していくと述べました。
中央銀行の声明によると、現在の政策金利2.75%は、経済に対して刺激的でも制限的でもない「中立的範囲」の中点に位置しています。もし経済がさらに関税圧力の下で悪化し、インフレの圧力が制御可能であれば、政策金利をさらに引き下げる可能性があると述べています。
カナダ帝国商業銀行（CIBC）の首席エコノミストであるアーヴィー・シェンフェルド（Avery Shenfeld）は、失業率が上昇し関税の影響を受けないインフレが緩和するならば、7月に25ベーシスポイントの利下げがある可能性があると考えています。経済は複数の課題に直面しています。
