フィンランドの軍事演習がトナカイの生態に悪影響 養殖者の懸念
フィンランド北部での戦闘機の音がトナカイを驚かせ、地域の静けさが破られています。フィンランドは5月にスウェーデンとイギリスとの間で大規模な軍事演習を行い、その一部がロバイエミ射撃場で実施されました。ここは西欧最大の砲兵訓練場でもあり、主要なトナカイの放牧地域です。
軍事演習はトナカイの採餌を妨げるだけでなく、繁殖期にも重なり、養殖者たちは非常に不安を抱えています。フィンランドのトナカイ放牧者ポロプダス氏は、「フィンランドがNATOに加盟して以来、軍事訓練の日数と演習の規模が急増し、私たちの活動に重大な影響を及ぼしている」と述べています。「私たちは軍と同じ地域で活動しています。」
ロバイエミ射撃場は特異な地形と季節変化が特徴で、理想的な軍事訓練場所として知られています。軍は現地に壕や武器を設置し、そのために森林を伐採し、トナカイの食料源である地衣類を直接破壊しています。トナカイの養殖者たちは環境の変化を心配しており、気候変動によりすでに困難な状況にあるトナカイの採餌がさらに厳しくなっています。
フィンランドのトナカイ放牧者ウタイラ氏は、「地衣草場が次々と破壊されており、オフロード車両が入ってくることで、タンクが私たちの地衣草場を荒らし、人数の問題も加わる。もし何千人もの人々がここを踏み固めれば、地衣草場に大きな負担をかけることになる」と警告しています。
現在フィンランドには57のトナカイ放牧区があり、合計184,000頭のトナカイが飼育されています。これは国土の36％を占めており、養殖者は4,300人以上がおり、そのうち約30％はフィンランドの先住民サーミ人です。トナカイの養殖はサーミ人の主要な経済源であり、彼らの重要な文化的象徴でもあります。
気候変動と軍事活動の二重の圧力に直面し、多くのフィンランドのトナカイ養殖者はトナカイを自然放牧から囲い飼いに切り替え、天然の地衣を人工飼料に置き換えています。国家安全保障とトナカイ養殖経済とのバランスを取ることが、フィンランド政府が直面している課題となるでしょう。
