米国最大の特殊半導体受託製造会社グローバルファウンドリーズ（GlobalFoundries / グローファンド，GFS-US）は、4日（水）に160億ドルの投資計画を発表しました。これは、人工知能（AI）需要の急増とサプライチェーンの安全性を反映したもので、トランプ政権と連携し、米国の半導体産業の発展を推進するとしています。

グローバルファウンドリーズの最新声明によると、同社は130億ドルをニューヨーク州とバーモント州の既存工場の拡張に投資し、さらに30億ドルを米国の先進パッケージングおよびその他の新興技術の研究開発に投入する予定です。CEOのティム・ブリーン（Tim Breen）によると、この計画では具体的な支出時程は発表しておらず、市場の需給に応じて柔軟に調整するとのことです。

また、顧客は特定地域の供給業者への依存を減らすために、より多くの現地生産を求めており、特に過去6か月で米国の顧客からの需要は明らかに増加しています。「供給の安全性は重要であり」、このAIブームはデータセンターや通信機器に対する高性能・低消費電力の半導体のニーズを押し上げていると強調しています。

グローバルファウンドリーズは主に「成熟プロセス」と呼ばれる重要な半導体を製造しており、業界最先端の技術ではありませんが、電源管理やデータフロー制御といった重要な要素に使用されており、AI、自動車電動車、量子コンピューティングといった新興市場の鍵となる部分です。

同社は、光子技術、窒化ガリウム材料、パッケージング技術などの分野に注力するとし、これらの技術は半導体産業のニッチ市場で重要な展開を成しています。グローバルファウンドリーズの本社はニューヨーク州マルタにあり、かつてはAMDのチップ製造部門であり、シャータード半導体（Chartered Semiconductor）と合併し、米国、ドイツ、シンガポールにわたるグローバルな半導体受託製造業者になりました。

現在、大部分の株式はアブダビ政府が保有しています。過去5年間、グローバルファウンドリーズの年平均資本支出は約14億ドルで、インテル（INTC-US）やサムスンの年数百億ドルの増産規模には遠く及びません。しかし、AIや車載電子機器の需要の成長を受けて、グローバルファウンドリーズは投資を増加させることを決定しました。

ブリーンは、30億ドルの研究開発予算の増加が三つの主要分野に向けられると述べています。一つは半導体の先進的なパッケージング、二つ目は量子コンピュータプロセッサ向けのシリコンフォトニクス技術、三つ目は電動車やその他の電源管理用途に使われる窒化ガリウム技術です。グローバルファウンドリーズは、この新しい計画がApple（AAPL-US）、Qualcomm（QCOM-US）、General Motors（GM-US）などの主要顧客の支持を受けていると述べています。

トランプ大統領はこれを自身の産業政策の成功の証と考えており、米国でのサプライチェーンの展開を強力に推進しています。具体的な実行スケジュールは示されていないものの、アナリストはAIおよび地政学的リスクの高まりに伴い、グローバルファウンドリーズの戦略的拡張が米国の半導体サプライチェーンの強靭性を強化する助けになると考えています。